ことばって深いと思う
「私が困っている」ということと、
「だれかが私を困らせている」というのは、
必ずしもイコールで結ばれない。
これは、「困る」を「怒る」に
置き換えても同じことだ。
「私が怒っている」と、
「だれかが私を怒らせている」は、
ときとして違う。
怒りは自分のもので、相手のものではない。
(何も持たず存在するということ、角田光代)
だれかを傷つけるために
言葉を使っちゃ、
ぜったいにいけないんだ。
だれかを傷つけるために
刃物を使っちゃいけないのと、
それはまったおくおんなじにさ。
(ひそやかな花園、角田光代)
その人しか持ち得ない言葉があり、
その人からしか受け取れない言葉
というものがある。
誤解をしたりすれ違ったりしつつ、
それをまた言葉で訂正していく、
ということも、あんがい
人の持つ豊かさなのかもしれない。
(脳あるヒト 心ある人、角田光代+養老孟司)